【八尾市民輸送列車】大阪上本町発高安行き準急に迫る

 

注意⚠

  1. この記事内で、行き先に特に触れていないものは高安行きです。
  2. この記事内で考察を複数回行います。この考察の内容は個人の見解であり、近鉄が公式に表明したものではありません。また、この件についての近鉄への問い合わせはご遠慮ください。
  3. 文法などのミスや、わかりにくい表現があると思います。気づきましたら、X(Twitter)【ID:nato_en_jp】またはコメントにてお知らせ下さい。
  4. 情報は2023年現在のものであり、現在の情報ではありません(後日加筆を行います)

 日本一路線長の長い私鉄、近鉄。その幹線である大阪線のターミナル、「大阪上本町」駅からは、名古屋・伊勢方面への優等列車の他に、河内・奈良方面への普通列車も運行されている。後者のうち、高安行きはけっして珍しい行き先ではないが、そのほとんどが各駅停車である。しかし、平日5本、土休日2本のみ、準急の高安行きが運行されている。

大阪線準急の停車駅《参考Ⅰ》

大阪上本町−鶴橋−布施−近鉄八尾−河内山本−高安−河内国分から各駅に停車


 上記の《参考Ⅰ》から、準急高安行きは、大阪上本町・鶴橋・布施・近鉄八尾・河内山本・高安となる。停車駅の半分の駅が八尾市である。別にこの区間なら各駅停車でも良いと思うのだが、なぜ準急として走らせているのだろうか。

 

1.ホーム有効長が足らない

 まず最初に思いつくのはこれだろう。準急高安行きは、平日16時04分発(大阪上本町基準)以外のすべての列車が10両であり、これは近鉄最大長の列車となる。

※平日16時04分発(大阪上本町基準)は6両

 近鉄大阪線大阪上本町−高安間で、ホーム最高長が10両編成に対応していない駅は以下の通りである。

  • 今里(6両)
  • 俊徳道(8両)
  • 長瀬(6両)
  • 弥刀(6両)
  • 久宝寺口(6両)

  ※1両20mとし、Google Mapの距離測定モードで測定

 このように、複数の駅で10両編成に対応していないため、通過せざるを得ない。そのため準急として運行していると考えられる。

 

2.前後の列車間隔 

 10両の高安行き準急については解決したが、大阪上本町基準平日16時04分発の準急については解決していない。この列車は6両のため、高安までの各駅に停車することが可能であるが、これは時刻表を見ることですぐに納得することが可能である。

大阪上本町駅 平日 16時頃の時刻表 《参考Ⅱ》

16時03分 特急ひのとり 近鉄名古屋行き

16時04分 準急 高安行き

16時06分 普通 高安行き

16時11分 急行 青山町行き

16時13分 特急 賢島行き
 《参考Ⅱ》を見てみると、16時04分の準急の2分続行に普通高安行きがある。2分続行で普通高安行きを運行しても、意味がないだろう。また、普通高安行きは、弥刀で後続急行の通過待ちを行う。先行の準急高安行きを各駅停車として運行すると、この急行を先行することが不可能となる。かといって、待避可能駅の弥刀を使うのは難しく、河内山本まで先行する必要がある。また、この急行列車は、2分続行で特急が走行しており、河内山本まで普通列車を抜かさずに行くと、急行列車のみならず、特急列車のスピードダウンにもつながる。なので、少なくとも河内山本駅までは先行する必要があるため、各駅に止まらず、準急として運行されていると考えられる。

 

3.回送列車として運行できないわけ

 ここまで、準急高安行きの設定目的を考察してきたが、回送列車として運行できないのか考える。

 

平日1便目
 大阪上本町駅を平日7時47分に出る準急は、その2分前の7時45分に宇治山田行きの特急が走行している。そのため、回送で高安まで回送するとノロノロ運転となる。途中駅に停車することで解決可能だが、せっかく止まるなら客扱いをすることで、少しでも利益につなげる狙いだと考えられる。

 

平日2便目
 大阪上本町駅を平日8時3分に出る準急は、同時刻のに名古屋行きの特急ひのとりが走行している。そのため、1便目と同様に回送で高安まで回送すると特急に先行することが困難なため、ノロノロ運転となる。途中駅に停車することで解決可能だが、せっかく止まるなら客扱いをすることで、少しでも利益につなげる狙いだと考えられる。

 

平日3本目
 大阪上本町駅を平日8時25分に出る準急は、その2分前の8時23分に河内国分行きの普通が、2分後の8時27分に高安行きの普通が、さらにその3分後の8時30分には伊勢中川行きの急行が走行している。そのため、回送で高安までノロノロと回送すると、後続が詰まる原因となる。また、先行する普通列車弥刀駅追い抜いている。回送が普通列車を追い抜いていることはめったにない。弥刀から先での先行のため、準急として運行されていると考える。

 

平日4本目
 大阪上本町駅を平日8時57分に出る準急は、その3分前の8時54分に松阪行きの快速急行が走行している。そのため、回送で高安まで回送するとノロノロ運転となる。また、6分後続で特急ひのとりが迫ってきており、河内山本駅で退避を行う。弥刀駅ではこの準急が普通列車を追い抜いている。回送が普通列車を追い抜いていることはめったにない。弥刀から先での先行と、速達しないと特急の支障になるため、準急として運行されていると考えられる。

 

平日5本目
 前述のとおり

 

 

土休日1本目
 大阪上本町駅を土休日7時54分に出る準急は、その2分前の7時45分に名張行きの急行が走行している。そのため、これも回送で高安まで回送するとノロノロ運転となる。途中駅に停車することで解決可能だが、せっかく止まるなら客扱いをすることで、少しでも利益につなげる狙いだと考えられる。

 

土休日2本目
 大阪上本町駅を土休日8時19分に出る準急は、普段なら回送運転でも良いと考えられる。4分後の8時23分には、臨時列車としてひのとりが設定されることもあるが、河内山本で通過待ちを行うことで解決されている。

 この列車に限っては、準急である意味が考えられないが、しいて理由を考えるなら、せっかく運行するなら客扱いをすることで、少しでも利益につなげる狙いだと考えられる。

 

まとめ

 謎の八尾市民輸送列車である準急高安行き。設定意図を考察することで、近鉄の工夫を感じ取ることができた。

 普段、謎に思う運用も、どのような意図で設定されているのか考えてみるのも良いかもしれない。

 ちなみに高安始発の大阪上本町行き準急もあるみたいなので今度考察してみても良いかもしれないと思う。